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episode 13
経済への影響は、どんどん大きくなっている。
地球温暖化による気象変動は、農業や水産業、スキーなどの観光業などに影響を及ぼすでしょう。さらには、異常気象による被害額が増加して、保険業界が対応できなくなることも予想されています。農産物の収穫量が減れば、世界的な食糧不足が起こり、物価が上昇し、生活は苦しくなります。気候の変動で、エネルギー消費量も多くなるという懸念もあります。社会全体に、さらに大きな問題が滲み出てくる可能性もあります。
これまでの経済予測の多くは、地球温暖化の影響を含んだものはありませんでした。5年程度先まで見越したものでも、経済に及ぼす影響は無視できるレベルだと思われていたからです。でも、それはもはや時代遅れです。
2020年に発表された調査によると、2100年までに気温が3℃上昇すれば、世界のGDPは21%減少する可能性があることがわかりました。
私たちが地球上で暮らすためには、まず正常な環境が必要です。その上で、最低限の安心を得て社会を作ることができます。社会が成り立つことで、経済も成り立ちます。温暖化による気候変動が、そもそもの地球環境を壊していけば、わたしたちの安心できる社会も、安定した経済活動も成り立たないのです。
2019年に日本を襲った台風19号の被害額は約1兆6000億円です。そのうち、農林水産関係は3400億円の被害額でした。たった一つの巨大な台風によって、わたしたちの社会はこれだけの経済的なダメージを受けるのです。暴風、熱波、洪水など自然災害による経済損失額は、1998年~2017年の約20年間で世界全体で2兆9080億ドル(約330兆円)にのぼります。その中で損失の大きな国を見ると日本は第3位です。また2019年の国際労働機関の発表によると、このまま2030年までいくと、暑さだけでさらに約250兆円の経済損失があると報告されています。
地球温暖化の影響は、全世界が共通で受けます。貧しい国の人々ほど、自らが温暖化の原因に関わっていないのに、最も大きな痛手を被る立場にあります。気候変動によって被害があった場合、貧しい国ほど経済的費用は深い痛手となります。
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経済への影響は、どんどん大きくなっている。