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02

episode 2

大雨、熱波、極端な気象異常が増えている。

地球は、太陽のおかげであたたかい星になっています。太陽の光が地表に当たると、熱ができます。日向ぼっこがあたたかいのはそのおかげです。その熱は、空に向かって放出され宇宙に逃げていくのですが、大気中のある成分がその熱を閉じ込めようとします。これを繰り返すと、地球がまるで温室のようにあたたかくなります。この閉じ込めようとするものを、温室効果ガスといいます。
温室効果ガスの中でも最も多いのが、二酸化炭素です。これは、石油や石炭など化石燃料と言われるものを燃やすと発生します。
長い地球の歴史の中で、最近の200年ほどは、気温がどんどん上がっています。太陽から来る光が強くなったからではありません。地球を取り囲んでいる大気の成分に温室効果ガスが増えたからです。
日本の気象庁は、なるべく人が少ない場所で空気中の二酸化炭素の濃度をずっと調べています。そのデータを見ると、二酸化炭素の濃度は毎年上がっています。世界に目を向けると、ヨーロッパ、中国、アメリカ合衆国、日本などがある、地球の北半球の中・高緯度帯が特に上がっています。世界の人口の8割が住んでいる場所です。
この、二酸化炭素の濃度が高い地域で、今、何が起こっているかというと、気象異常です。熱波、極端な豪雨、山火事、超大型の台風など、極端な気象が立て続けに発生しています。日本でも、毎年の降水量を見ると、極端に雨が多い年があったり日照り続きの年があったり、その変化が激しくなっています。
これらの極端な気象の原因になっているのは、温室効果ガスがもたらした地球温暖化なのです。


episode 2
大雨、熱波、極端な気象異常が増えている。



くわしいデータと解説1
温室効果ガスの主役は、二酸化炭素。


人為起源の温室効果ガスの総排出量に占めるガスの種類別の割合
出典:気象庁ホームページ
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/chishiki_ondanka/p04.html

人間が引き起こしている気温上昇、その原因は温室効果ガスです。
温室効果ガスには、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスがあります。
この中で最も大きく占めるのは、二酸化炭素です。
上のグラフは、人間が活動することによって排出される温室効果ガスの種類別の割合を示しています。石油、石炭など化石燃料を燃やすことによって排出される二酸化炭素が多くを占めていることがわかります。
ちなみに、メタンは、沼地の底などで木や草などが腐っていく時に出る泡だったり、牛のゲップにも含まれています。


くわしいデータと解説2
日本の二酸化炭素濃度が上がっている。

日本では気象庁が空気中の二酸化炭素の濃度を、調べています。場所は、綾里(岩手県大船渡市)、南鳥島(東京都小笠原村)、与那国島(沖縄県与那国町)の3ヶ所。これらの場所は、人間活動による局地的な汚染の影響が少ないとして選ばれています。そのデータをグラフ化したのが下の図です。


出典:気象庁ホームページ
http://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html#jma

空気中の二酸化炭素の濃度は、季節によって変わります。
夏は植物の光合成が活発になり濃度が減少しますが、冬は呼吸・分解活動の方が光合成の活動よりも優って濃度が上昇します。
このように季節によって変動するギザギザはあっても、全体的には二酸化炭素濃度がどんどん上昇していることがわかります。
濃度年増加量のグラフを見ても、観測地点のいずれでも毎年増加しており、減少した年はありません。


くわしいデータと解説3
北半球で二酸化炭素濃度が増えている。


出典:気象庁ホームページ
http://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/co2_trend.html#jma

上のグラフは、温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が、緯度帯別に平均した大気中の二酸化炭素月平均濃度の経年変化を示したものです。
これをみると、北半球の中・高緯度帯の濃度が高くなっています。
地球上で、人々が多く住むのは北半球で、世界の人口の8割以上が北半球に住んでいます。そして、人々の活動が活発なのが中・高緯度地帯です。
人間の活動が活発であれば、より多くの二酸化炭素を放出します。
このグラグからもわかるように、このエリアの二酸化炭素濃度は年を経るにつれて次第に高くなっています。


くわしいデータと解説4
日本の降水量は年毎に大きく変動している。

棒グラフ:各年の降水量の基準値からの偏差、
太線(青):偏差の5年移動平均値。
基準値は1991~2020年の30年平均値。


出典:気象庁ホームページ
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_jpn_r.html

上のグラフは、日本の年毎の降水量の変化を表しているものです。これをみると、1970年代以降の年毎の変動が大きくなっているのがわかります。また、2010年以降は、多雨期になっていることもわかります。