2014年6月 7日

告白-my confession

告白します。理系にコンプレックスがありました。

理系に進んでおけが良かった(実力度外視です)と、痛感するようになったのは
WBS(早稲田大学ビジネススクール)のMOTコースに進学し、優秀な理系同級生の姿を目の当たりにしてからだったと記憶している。
そもそもWBSへの進学を進められた際、、ホッピーの3代目として技術経営を知った方が良いだろうとのお話もいただいた。
そこで、無理やりカテゴライズするならば、どう見てもMBAっぽい私がMOTの世界に飛び込んだのである。
そもそもコンプレックスを感じ始めたのは、ホッピーを継いで程なくのことだったと思う。
醸造界では男女問わず、跡取りのほとんどが醸造学科出身。もしくは理系。
文系の跡取りは珍しいのだ。
文系なのに、弊社の経営ができるのか。。。
密かに悩み始めた。
2003年辺りから2010年頃にかけて、色々な風が私と我が社に吹きその恩恵を受けて、「ホッピービバレッジ奇跡の復活!」と言って頂いたけれど、いつの間にか弊社のイメージは、「マーケティングと営業の強い会社」(実は、それも決して強くない)に。
それはそれで大事なことだが、製造業はやはり「造ること」に強くあることが鉄板の鉄則だ。
そして、出逢った慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科。通称SDM.
システム思考とデザイン思考の領域を扱う研究科である。
「学校にいないけど、大丈夫?」と、同級生に声をかけられた通り、ありがたくも一週間単位の海外出張も増えて、とても気になりながらも学校に行けないことが少なからずある。
締め切りを過ぎたのに提出できていない課題もてんこ盛り。
当然の穴だらけ状態では、授業にもついていけていない。
SDMは、e-learningのシステムも整っているのでビデオを見れば少しはフォローできると思うが、ビデオを見る時間もなかなか取れない。
でも。
自分の中に変化が起こりつつあることを感じる。
今、アメリカ合衆国シカゴの地でこのブログをしたためている。
この学会で弊社がお世話になっているミュンヘン在住の技術顧問が、ポスター発表をされるにあたり、
MBAA-Master Brewers Association of the Americas に同行させて頂いているからである。
ドイツビール醸造界の権威のお一人である、U.K.氏に弊社の技術指導を頂くようになり約3年。ご滞在の週末は観光にご案内するのだが、そこで訪れた日本酒の酒蔵でのご経験がきっかけとなり、ちょうど一年前より、日本酒醸造の技術について本格的なご関心を持たれるようになった。
そして今回、酒とビールの醸造の違いについてのご研究を発表されたという運びだ。
「ミナ、研究がまとまったよ!」ある日突然、言われた日にはびっくりした。
弊社に技術指導にいらしているだけでなく、東京との関わりご自身の研究にも活用されているお姿に感動し、「関心を持つ」プロの研究者の姿勢から学びを頂いた。
そして、研究者の研究のスピード感も感じて、これも驚きだった。
ビックリしている場合ではない。つまり私もこのスピードを学びを、少しでも近づく努力をして論文を書けるようにならなければ、いつまでたっても目標は実現されないのだなとうっすらと感じている。
ポスターではありがたいことに、共同執筆者として私の名前も掲げてくださった。私がさせていただいたのは、京都に2度、日光に1度の酒蔵へのご案内、そして東京で日本酒の権威である教授とお引き合わせしただけなのだが。
6/1、私と2人の社員、そして技術顧問はNYで合流。
そこからレンタカーにて2泊3日をかけて大陸を横断し、シカゴにやってきた。
レンタカー移動の理由は、ビール工場見学である。
先生のご人脈のお陰様で、NY州の西端にあるCottonvilleと、エリー湖で有名なClevelandの工場を見学させていただいた。
いずれも工場長自らのご案内で、一般には入れていただけない場所まで見せていただくことができた。直接、醸造技師としてのこだわりや熱い思いも沢山伺うことができた。
その時だ。
何がとはっきり言えないのだが、自分の中の変化を感じたのだ。
まだまだ端っこを齧っただけのシステム思考だけれど、工場を見る見方が変わっている。
何より、以前よりずっと楽しい。明らかに興味関心の度合が異なっている。
設備を美しいと思えたのは今回が初めて。
工場設計をしてみたい、面白そうだと思ったのも初めて。
拙著第一作に詳しいが、色々なことがあって工場はトラウマだった。
かつて拒絶された場所が実は、今でも怖くて足が進まない。
今でも、、、と思ってしまうのは私の勝手なイメージで、現実は全く異なり、今の社員たちは私を信頼し、工場の改革に精を出してくれているのだが、刷り込まれたイメージがどれだけ自分を支配するか、その怖さの実例とも言えるかもしれない。
逆に良い刷り込みをされたら、実力以上の成果を導き出すのかもしれない。
でも。
スピードはゆっくりだが、確実にSDMを学ばせて頂いていることが自分を支える一本の柱になりつつある。
自分の中に起こりつつある変化が嬉しくてたまらない。
折しも世界からビール醸造界のtop engineer やtop scientist達が集うMBAA。
発表内容はまだちんぷんかんぷんだが、一つでも多くのセッションに顔を出して、空気だけでもたっぷり吸っていきたい。
理系でもなくて文系でもない。
SDMer...?(私が勝手に作った造語です)
そんな醸造界の跡取りがいても悪くないだろう。
どうやらようやく長い間のコンプレックスとさようならができそうだ。
でも、このコンプレックスがあったから、ここまでたどり着けた。
私のコンプレックスに心から感謝をこめて、私の心の宝箱にしまおう。
自分の目指す道を見つけた今、私の心はワクワクであふれている。
IMG_9536-1.jpg

投稿者: hoppymina 日時: 2014年6月 7日 14:01

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